ヒーロー戦隊ソルジャーファイブ



               森田カオル


「で、誰がリーダーなのかが問題だ」
 部屋に女性を含む五人の若者が集っていた。
「誰がって、当然俺に決まってるじゃん」
 血気盛んな男が自信満々に言った。
「理由は」と侠な感じの女が聞く。
「長官からは口止めされてるんだが、はっき
り言われた。俺がソルジャーレッドだってな」
しかし目つきの鋭い男がその言葉を遮った。
「レッド=リーダーって、お約束だが、果た
して俺達にそいつが当てはまるかは疑問だ」
「どういう事だ」
「お前はレッドだ。で、俺はソルジャーカー
マイン。すなわち、〈赤〉なんだ」
 一同の顔色が変わった。
「さっきそこにいるカレンちゃんに聞かれた
んだ。『マゼンタってどんな色なの』ってな。
マゼンタってのは印刷に使う色で、紅色なん
だ。他のみんなは何色って言われた?」
「僕はバーミリオン」
「あたしはスカーレットだってさ」
「ほら、みんな赤色なんだよ」
「じゃ、あたしがリーダーでもいいじゃん。
今じゃ戦艦の艦長は女が多数派なのよ」
「それはアニメの話だ」
 その時、扉が開き、一人の老人が部屋に入
ってきた。
「諸君、遅くなってすまない。わたしがこの
戦隊のリーダー、ソルジャーシルバーです」
 一同は口を開けたまま男を見た。
「ソルジャーファイブなのに、なんで六人目
のメンバーがいるのよ」
「細かいことは気にしなさんな」
「それはいいけど、アタシ達みんな赤色なの
に、何であなただけシルバーなの」
「ああ。わたしは市のシルバー人材センター
から派遣で来たのだ」
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